リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

『提言‐日本のポリファーマシー』(徳田安春編集)を読んで

今回ご紹介するのは、「提言‐日本のポリファーマシー」(徳田安春編集)です。

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本書は2012630日に行われた、「第2回 家庭医・病院総合医教育研究会」の討議をもとに編集されたものです。ポリファーマシーのことが中心に討議されたようで、その一連の討議の内容がまとめられています。また後半1/3くらいは、ポリファーマシーとは関係のない地域医療臨床実習関連の内容がまとめられています。

この書籍は以前から興味があって読みたかったのですが、先日プライマリケア連合学会学術大会に参加し、ポリファーマシーに関するポスター発表を見て、薬剤師が積極的に取り組まなければならない問題だという認識を持ち、この書籍を読むことにしました。

「ポリファーマシー」に正確な定義はまだありません。文献によっても異なります。薬剤数でいうと、5剤以上、7剤以上、10剤以上など様々なことが言われています。また多剤併用だけでなく、必要な薬剤が使われていないことや、不要な薬剤が使われていることも「ポリファーマシー」の一部です。もちろん、年齢や体重、腎機能、肝機能に対しての不適切な薬剤・用量選択も含みます。そのため個人的には、『医薬品の適正使用』と訳するのが適正なのかなと思います(もう少しかっこいいのがいいのですが…)。

「ポリファーマシー」は海外では徐々に使われてきている概念ですが、日本ではまだまだといった印象があります。薬剤師の中でもごく一部しかこの言葉を知らないのではないかと思います。もっともっと日本でもこの概念を浸透させていかなければならないと感じましたし、薬剤師が積極的に取り組んでいかないといけない問題だと思います。

 

誤字、脱字が多いのが少し残念でしたが、大変勉強になる内容ばかりでした。ポリファーマシーの概念から様々な取り組み、論文が紹介されていて、また改善案まで書かれているので、一から深くまで学ぶことができます。ぜひ薬剤師には読んでいただき、ポリファーマシーに関する理解を深めていただき、現在の薬物治療の内容を見直してもらいたく思います。

全体を俯瞰して管理することは大事な一つの仕事なのではないでしょうか。(中略)それを薬剤師がするのか、家庭医がするのか、病院総合医がするのか、もしくは専門医であってもその患者を一番診ている医師がするのかはわかりませんが、それが立派な業務であることを認識させることは意味があることだと思います。単に俯瞰するだけでなく、この人に関しては私が統括して診ているという権限を与えていくのが大きな意味を持つのではないでしょうか。門前薬局があってかかりつけ薬局があって、薬局がひとつにまとまるだけでは不十分であると思います。もう一歩踏み込んだシステムがほしいと思います。

→なかなか難しい問題提起です。ただの「かかりつけ薬局」ではなく、もう一歩踏み込んだ薬局が今後求められているようです。

 

先輩の処方がどんどん積み重なっていくので薬を切りにくい。患者も薬を減らしてほしいという。病歴でなぜこの薬が入ったのかを診療録に記載することが基本である。減らすのは、患者の将来に責任をもつ、かかりつけ医でないといけない。医師も自分の「かかりつけ薬剤師」を持つことが有用である。

→医師は、先輩の医師や他の病院の医師の処方を変えにくいようです。そりゃそうですよね。でもそういったことがこの問題の大きな原因の一つになっているのだと思います。そこには積極的に切り込んでいななければならないですし、薬剤師も提案、アドバイスしていかなければなりません。

 

薬を嫌がる文化、出す方も罪悪感を感じるような文化を作るべきだと今思います。減薬するのは入院中が一番で、その役割は、憎まれ役を買ってでも病院総合医が担うべきだと思います。開業医の先生方の中にも、入院の機会に薬を減らして欲しいと思っている先生方もたくさんおられると思います。そういった先生方を巻き込んで、薬を減らすと患者さんも喜び、医療費節減ができてみんながハッピーになる、そんな新しい文化を作るのがいいと思っています。

→薬を欲しがる文化は本当に深刻だと思います。「不必要な薬」を減らすことはメリットしかありません。そういった文化を今後は作っていかないといけません。

 

患者の訴えに対して、医師は患者への介入を行う。この際に一般診療の場において問診、観察、評価・治療計画を立て、患者に説明を行い実行するという過程をたどる。しかし、多忙な日常診療の場において、その煩わしさから、患者からの要求に対して、反射的に処方という場合もある。例として①いわゆるウイルス性上気道炎に対して抗菌薬処方、②不眠の原因を考えずにすぐに睡眠薬を処方、③それぞれ原因の異なる浮腫に対して、反射的に利尿剤の処方などがある。病態を考慮せず、エビデンスに乏しい治療を行うことを可能な限り避けるべきである。

→全てよく見かけます。抜本的な改革が必要なんですかね…

 

ある種のガイドラインに準ずることに重きを置きすぎて、高齢患者の包括的な評価による予後判定よりも優先してしまうことがある。薬物治療でマニュアル的に治療しようとする行為が高齢患者の予後を変えるような結果が本当に得られるかを真摯に考え、患者それぞれの状況や病態に合わせ、「治療の最終目標が何であるのか」を常に検討し、処方の見直しを継続的に行うべきである。

→真っ当な意見だと思います。高齢者にガイドラインを当てはめると、治療をしなければいけないことだらけになります。そうではなく、包括的に評価することで優先順位を決めていくことが今後は求められているのだと思います。

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