リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

月刊ブログ 田舎の地域医療を志す薬剤師(2014.3)

調剤薬局の薬剤師から病院薬剤師に転職して2カ月が過ぎました。
業務に慣れてきた一方、様々な疑問が出てきました。
一つは、他の病院での業務内容を知りたいということ。
一つは、薬局や地域との連携を知りたいということ。

先月、第35回日本病院薬剤師会近畿学術大会に参加し、 そういった辺りを中心に勉強してきました。
今回は、そこから私が考えたことなどを地域医療と関連付けて書いていきたいと思います。

私が参加したシンポジウム及びランチョンセミナーは、
1日目
ランチョンセミナー1 新時代の骨粗鬆症治療~抗RANKL療法~
シンポジウム1    病棟薬剤師業務の進化・深化・真価
2日目
シンポジウム5    地域医療における視野と視座を問う~薬剤師が築く地域のつながり~
ランチョンセミナー9 Pertuzumab,T-DM1を用いた新たなHER2陽性乳癌治療の幕開け
Meet The Expert 5   慢性腎臓病(CKD)患者の薬物療法の適正化に向けて

そして、合間にポスター発表を見に行きました。

シンポジウムやランチョンセミナーは、他にも参加したいものがたくさんありました。
しかし、今の自分の状況を考えると、感染症NSTなどの全く知識のないものよりは、
少しでも実践できそうな内容を聞きたいと思い、上記を選択しました。

まず骨粗鬆症治療に関しまして、先日他の講演会でもお聞きしたのですが、
骨粗鬆症の推定患者数は1300万人なのに対して治療しているのはわずかに200万人とのことです。
骨粗鬆症になると骨折リスクが多いに増え、骨折は介護負担の増加に結びつきます。
病院にいると、骨折で入院になった患者さんが時々おられますが、
その時のYAMが40%台ということも珍しくありません。
今後の医療・介護のことを考えれば、早めに手を打っておかなければならないと思います。
治療している人が少ないということは、スクリーニングの機会が少ないということでしょう。
行政に働きかけるなどして、その機会を増やし、骨粗鬆症の早期発見・治療を行い、
健康寿命を延伸させ、介護負担を減らしていく必要があると思いました。

次は病棟薬剤師業務についてです。
私の勤める病院では、人員不足で病棟業務がほとんどできておりません。
地域医療ということを考えると必要なのは退院時カンファへの参加です。
保険薬局で勤める手嶋先生から、
「持参薬の状況がおかしな人や退院後が心配な患者さんはいませんか?」
という問いかけがありました。
いらっしゃいますね、そんな患者さん。
最低限、そんな患者さんの退院時指導は必要だと思いましたし、
ぜひ保険薬局の先生にも参加していただき、
シームレスな医療をしていく必要があると感じました。
その関連で、病院薬剤師の黄前先生から退院時に薬局に伝えている情報についての
発表がありました。
先生の病院では退院時服薬指導書として、
SE・アレルギー歴、処方意図、使用したパンフレット、抗がん剤のレジメン
などを伝えているということでした。
これが介護職員にも喜ばれたということで、参考にしていきたいと思いました。

次にCKDの治療についてです。
CKDと地域医療の関連と言えば、やはり処方箋への腎機能値の記載だと思います。
最近腎機能を処方箋に記載する病院が少しずつ出てきたようですが、
問題点も多いのではないかと思います。
腎機能値を記載するといっても、クレアチニン値、Ccr、eGFR等の種々の数値が存在し、
それぞれに特徴があります。
小柄な患者さんではeGFRが低くなるなどの問題点もあると思います。
また、腎機能値はその時々で変化しますし、
その時の数値だけで判断するのは難しいと思います。
処方箋への記載を始める前にまず、Dr、保険薬局の薬剤師に対して、
それぞれの数値の特徴等を伝える必要があると思いますし、
私自身、その数値が何を示すのかをしっかり勉強する必要があると感じました。

そして、この二日間にいくつかの記憶に残る言葉があったので紹介します。

「とにかく臨床現場で患者を診る!臨床薬剤師にしかできない取り組みを!」
調剤室から出て、病室に行くようにということですね。
その必要性は日々感じています。
病棟業務を行っていないので、患者情報はほぼカルテでしか知ることができません。
病棟に行けば他にも気づくことがあると思うし、適切な薬物治療の提案や、
他職種の負担軽減も可能ではないかと考えています。

「覚悟を持った薬剤師と働く!」
これは本当に大切はことだと思います。
いくら一人でやっていても、なかなか物事は進みません。
しっかりとした覚悟をもった薬剤師と一緒であれば、問題も解決するはずです。
「周りの薬局のリストではなく、薬剤師のリストを作る。」
という話もありました。これも面白そうです。
私は覚悟を持っています。私と一緒にその覚悟を共有してくれる薬剤師を募集しています!

「病院に対する調剤薬局の敷居が高い!」
地域医療を進めていく上で、どうしてもこれは解決しなければなりません。
以前保険薬局で勤めていた時もこれは感じていましたし、
病院にいる今もこれを感じています。
私は最近まで保険薬局に勤めていたので、理解できることも多いと思います。
私が先陣を切って、この問題を解決していきたいと思いました。

学術大会へ参加し、地域医療を進めていく上で、
病院薬剤師の役割が何なのかが理解できたように思います。
あとは行動あるのみ!
少しずつ実践していきたいと思います。

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